ここで、今までの通貨と新しく誕生した暗号通貨、代表としてビットコインとの違いを述べてみたいと思います。
通貨と暗号通貨の形態
円やドルのような従来の通貨を法定通貨と言い、紙幣や硬貨といった実体があるものとして決済できます。
一方、暗号通貨はコンピューター上にある取引データの集合体のため、実物がないまま取引されているという違いが挙げられます。
発行元は?
法定通貨は円だと政府の委託を受けて、日本銀行によってお金の管理・発行が行われます。この場合発行元は、日本銀行(中央銀行)になりますね。
しかし、ビットコインには特定の発行者は存在していません。どこの管理下にも置かれないまま、コンピューターによる決められたプログラムに沿って、自動的にコインが発行されています。
発行上限
法定通貨は、各国政府の金融政策によって流通量が決められ、発行量の上限はありません。安定した価格で取引できますが、上限がないために刷ろうと思えばいくらでも紙幣を発行できます。そのため、相対的に価値が下がってしまうインフレを起こす可能性もあります。
ビットコインは、あらかじめ発行量が決まっています。その数は約2100万BTC(ビットコイン・通貨単位)です。2140年頃には発行上限に達し、新規発行がなくなる予定です。発行上限が決まっているため、ビットコインの価値が相対的に上がると言われていますが、価格の変動が激しいという特徴があります。
信用の担保・中央集権と非中央集権型について
法定通貨は、発行元である国家がその通貨に対する信用を担っています。いわばその国への信用が通貨の価値になります。また、取引には管理者である銀行を介す必要があります。
一方、ビットコインを始めとする暗号通貨は、そのプログラムを動かすブロックチェーン技術が信用のもととなっていて、政府や中央銀行に頼らない仕組みとなっています。
このように、法定通貨は国家・銀行による管理の元で取引されているいわば中央集権型であるのに対し、ビットコインは特定の管理者が存在せず、個人間で直接取引できる非中央集権型である点が大きな違いになります。
電子マネーと暗号通貨の違い
「Suica」や「Edy」と言った電子マネーは今や日常的に使われていますが、暗号通貨とはどう違うのでしょうか?
電子マネーも実体がなく、目には見えませんが、あらかじめ現金をチャージして使うため、あくまでも「円」、法定通貨が形を変えたものに過ぎません。発行元も、各事業者が主体となっています。
一方、ビットコインはもともと法定通貨ではなく、暗号通貨そのものです。発行形態も一定のプログラムに沿って発行されていて、特定の発行者もいません。
また、電子マネーは一般的にお店やサービスへの決済のみを目的としているのに対し、ビットコインはお店への決済サービスの他に、個人間での取引にも使われるという違いがあります。
このように、一見するとどちらも目には見えない電子のデータですが、その性質と中身は全く異なります。
以上が従来の通貨と暗号通貨との主な違いになります。